オンライン学習サービスにおける優良ユーザー育成のための施策提案の事例を公開しました

業界:企業向け人材育成支援
目的:データ分析を用いた優良顧客の定義・抽出および視聴パターンの把握

クライアントはマネジメント職を対象としたeラーニングサービスを展開しており、コーチングやリーダーシップといった、マネジメント職に求められるスキルを学べるオンライン講座サービスを提供しています。ユーザー育成・サービス改善へつながる示唆を得ることを目的に、サービスにおける優良ユーザーの行動傾向分析を行いました。

実施したアプローチ

本プロジェクトにおいて、まずは「当該サービスにおける優良ユーザーとは何か?」という定義をする必要がありました。そのため、まずは顧客と優良ユーザーについての議論を行いました。議論においては「安定して高い頻度で学習している」「多くのコンテンツを学習している」などの定義が挙げられたため、各定義をそれぞれ数値基準に置き換え、それらを満たすユーザーを優良ユーザーとして抽出し、行動を分析するアプローチを選択しました。

また、本サービスは企業に向けて提供されるため、企業の人材育成制度の設計もユーザーの行動に大きく影響する可能性があります(たとえば、毎日1件は動画を視聴することが社員に義務付けられているケースなど)。そのため、優良ユーザーが多く在籍する企業が存在するかどうかについても分析を行いました。

使用データの選定

上記の通りの仮説を定めた後、仮説検証を行うために必要なデータにRejouiであたりを付けたのち、顧客とデータの選定を実施しました。

仮説検証と必要データのイメージ例

上記のディスカッションを経た後、解析に活用したデータは下記のとおりです。

ユーザー属性情報(ユーザーID、役職、在職年数、企業ID 等)
コンテンツ視聴履歴(ユーザーID、視聴コンテンツID、視聴開始時刻、視聴終了時刻 等)
ログイン履歴(ユーザーID、ログイン時刻 等)
コンテンツのマスタ情報(コンテンツID、コンテンツタイトル、概要、必要視聴時間数 等)
自己診断テスト利用実績(ユーザーID、診断日、診断結果 等)
契約企業の属性情報(企業ID、業種・業態、従業員数 等)

とりわけ、中心的に分析に活用したデータは、「ユーザー属性情報」と「サイト内での行動履歴情報」です。ユーザー属性情報に、ユーザーそれぞれの役職や在職年数、企業の基本情報などが格納されていました。これを用い、どのようなユーザーや企業が多いのかの基本情報を把握します。
これらを分析し、ユーザーがどのようにサイトを利用しているのか、またどのコンテンツをどの順で閲覧したのかなどを解析することができました。

分析アプローチの概要

まず、優良ユーザーの抽出に際してRFM分析を行いました。RFM分析とは、Recency、Frequency、Monetaryの3つの側面からユーザーを分類し、その分類ごとに特徴を捉えるマーケティング領域のスタンダードな解析手法です。今回はRecencyを「最終ログインがログデータの最新日付から数えて何日前か」、Frequencyを「学習頻度」、Monetaryを「学習コンテンツ数」と対応づけました。これにより、複数の視点を同時に考慮しながら顧客をグルーピングすることができます。

また、ユーザーがそれぞれどのようなコンテンツを視聴しているかの傾向を捉えるために、コンテンツの視聴履歴データと、コンテンツのマスタ情報を組み合わせ、顧客の閲覧しているコンテンツカテゴリを集計したデータを用いてクラスター分析を実行しました。クラスター分析は類似したデータを分類することのできる教師なし機械学習ですが、この結果のクラスタNoと、RFMスコアを結合することで、顧客の視聴パターンとRFMスコアの関係を把握することができました。

分析工程のイメージ

結果から得られた示唆、課題解決のための提案内容

分析の結果として、サービスを使用している企業は数百社存在するものの、全優良ユーザーのうち、80%程度は特定の数社に在籍していることがわかりました。また、クラスター分析ではほとんどの優良ユーザーが特定のクラスターに属していたため、そのクラスターに属するユーザーを抽出し、視聴コンテンツを集計しました。その結果、クラスター内での視聴率が90%を超えるコンテンツが数多く存在し、優良ユーザー間では視聴パターンが非常に似通っていることがわかりました。この結果から、優良ユーザーが多く存在している企業では、どのような講座を受講するかや、受講に伴う社内制度が適切に定められているという仮説を立て、まずはそれらの企業における本サービスの導入方法を調査することが有効だと提案いたしました。

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