分析者の土台はこうして育つ――インターン卒業生が語る、Rejouiの人材育成力

【重要注記】 ※本インタビューは、2024年2月に当時Rejouiの長期インターンとして在籍していた柳 智也さんへ実施した内容をもとに編集したものです。現在はインターンを卒業し、別の企業で活躍されています。


柳 智也さん

筑波大学理工学群社会工学類を次席で卒業後、同大学院でデータサイエンスを専攻。機械学習や数理最適化の研究に取り組む一方で、複数社でのインターンを通じて実務経験を積んできた柳 智也さん。分析コンペティションではKaggle Master の称号を獲得するなど、学生時代から高い分析力を発揮してきました。

Rejouiでは約2年間にわたり長期インターンとして在籍。データ分析プロジェクトへの参画に加え、研修教材の作成や高校向け授業の講師など、幅広い業務にて活躍しました。いずれの業務も、経験豊富なデータサイエンティストによる指導・レビューのもとで進められており、Rejouiでは、インターン一人ひとりの成長や適性を見極めながら、実務的な役割にチャレンジしていただける体制を整えています。

現在は、LINEヤフー株式会社でデータサイエンティストとしても活躍しています。

データサイエンスへの道のり

—— 当社のインターンを始めたきっかけは?

データサイエンスを学び始めたのは、学部2年生のときでした。
新型コロナウイルスの流行により、それまで当たり前だった大学生活が一変し、時間に余裕ができた時期でもあります。

その頃、感染状況や人流、経済への影響などを扱ったコロナ関連の記事を目にする機会が増えました。記事の中で使われていたグラフやデータ分析を何度も見るうちに、「データから社会の状況を読み解くこと」そのものに興味を持つようになりました。

とはいえ、それまでコードを書いた経験はなく、機械学習の知識もありませんでした。統計も、授業で少し触れた程度からのスタートです。

もともと私は、メリハリをつけて取り組むタイプで、参考書を最初から順に読み進めたり、本の通りに集計作業をなぞったりするような学習方法はあまり得意ではありません。
それよりも、「この課題を解くには何が足りないのか」「そのために何を学べばよいのか」と考えながら、具体的なお題がある中で学ぶ方が好きなんです。

一人で勉強を続けると知識が偏ってしまいそうだという危機感もあり、実務に近い形で学べる環境を求めるようになりました。

ちょうどその頃、Xで菅代表の投稿を目にしてRejouiの存在を知りました。
分析に必要な技術と、それを実際に使うための知識の両方を学べそうだと感じたことが、インターンを志望した決め手です。

「まずは自分で考えてみる」が身につく環境

—— Rejouiではどのような業務を担当されていたのでしょうか。

基本的には、データ分析業務と研修教材の作成を担当していました。
データ分析業務では、クライアントの課題に対して、どのような切り口で分析すべきかを自分なりに考えたうえで、分析結果と考察をまとめたり、機械学習モデルの開発を行ったりしていました。

研修教材の作成では、省庁や企業に向けたデータ分析の基礎研修を対象に、各技術の解説資料やハンズオン用の素材を作成していました。単に内容をまとめるのではなく、「なぜこの手法を使うのか」「どのような考え方で分析を進めるのか」が伝わる構成を意識して取り組んでいました。

また、高等学校での授業づくりや講師登壇にも関わる機会があり、データサイエンスを「教える側」の視点を持てたことで、自分自身の理解もより深まったと感じています。

高校での授業づくりと講師登壇

―― 印象に残った取り組みを教えてください。

高校生向けのデータサイエンス体験授業に、講師として関わったことがとても印象に残っています。生徒が自ら選んだ探究テーマについて、データの収集から分析結果の整理・考察までをやりきる授業で、そのプロセス全体をサポートしました。

授業は隔週で全6回、約3〜4か月にわたって実施されました。
ベースとなるカリキュラムは、Rejouiのデータサイエンティストが設計しており、私たちインターンは、その内容を高校生にも伝わる形に落とし込む役割を担いました。
専門的な内容をそのまま伝えるのではなく、補足説明や具体例を加えながら、理解の段階に合わせて教材をアレンジしていきました。

実際の授業では、生徒たちの主体的な姿勢が嬉しかったですね。意見の正解・不正解にとらわれず、自分の気づきをどんどんアイデアとして表現してくれました。
年齢が近いこともあり、打ち解けるまでに時間はかからなかったように思います。

授業の様子

―― 授業ではどんな質問が寄せられましたか?

「こういうテーマを調べたいけれど、どんなデータを使えばいいか?」という相談がたくさん出てきました。私は答えを直接示すのではなく、班員の一人のような立ち位置で、必要な問いを投げかけたり、具体例を紹介したりしながらサポートしました。

また、「社会に出たらデータサイエンティストになって起業したい。気をつけることありますか?」という質問もありましたね。データ分析はあくまで手段でしかないため、起業しようを目的にするのではなく、自分の本当の理想像とデータサイエンスが紐づくとより良いのではないでしょうか、と伝えました。

―― 授業の特徴はどんなものでしたか?

授業は、課題に対してまず仮説を立て、その後に分析・検証を進める構成でした。

データ分析を初めて体験する場合、「どんなデータを使えばいいのか」「集めたデータのどこを見ればいいのか」「どう進めればよいのか」など、迷ってしまうことが多くあります。

そこで、

  • 見たいものを明確にする(仮説)
  • それを確かめるためにデータを使う(検証)

という、分析の基本プロセスを丁寧に伝えていきました。限られた授業時間の中でアウトプットまでたどり着くためにも、仮説設定の重要性を体感してもらえたと感じています。

分析プロジェクトを通じて得た教訓

―― 分析業務で印象的だったプロジェクトはありますか?

ある都市への旅行を促す複数パターンの広告文について、先輩データサイエンティストの指導を受けながら、どのような特徴が、どの層に響くのかを分析するプロジェクトがありました。大規模なアンケートデータを用いたところ、同じ広告文でも、好意的な反応を示す層が大きく異なることが分かり、とても興味深かったです。広告文ひとつで、ここまで行動に違いが生まれるとは思っていませんでした。

街や世代ごとの傾向によって、どこに、どのような表現で訴求するのか。
それらが感覚ではなく、データに基づいて決められていることが見えてきました。それ以降、街中で目にする広告文についても、「どんな背景や仮説があって、この言葉が選ばれているのだろう」と考えるようになりました。

―― ほかに印象的だったプロジェクトはありますか?

人の対話を記録した音声データの解析プロジェクトです。先輩データサイエンティストを中心に進められ、私はそのもとで分析や検討に関わっていました。

あるサービス利用者とのコミュニケーションを録音したもので、サービス提供側にとっても情報に富んだ非常に興味深いデータでした。一方で、そういったデータの “解析の難しさ” を知ったのも、この時でした。

ここ数年で非構造化データの解析技術は格段に上がりましたが、ほんの数年前までは精度に課題が見られました。当時も、一部のデータは手作業での確認や変換の方が効率的という判断をして、スタッフ総出で確認作業をすることがありました。作業は本当に大変でしたが、データから直接得られる示唆も多く、学びの大きい経験でした。「整っていないデータを前提に分析を進める難しさ」という、実務ならではの現実を知ることができ、この経験は今でも活きていると感じます。

また、当時の私はそのサービスや業界背景への理解が浅かったため、自分の想定が良い意味で大きく外れたことも印象に残っています。

このプロジェクトでは、自分の経験や思い込みだけで仮説を立てることの危うさを改めて実感しました。「こうだろう」と決めつけるのではなく、事前にヒントとなる視点を集めたうえで仮説を立て、技術を使って検証していく。そのプロセスの重要性を学びました。

技術的にできることの限界と、限られた納期の中で何を、どこまで見にいくのか。
そうした判断力も含めて、分析者としての考え方や推進力が大きく鍛えられたプロジェクトだったと感じています。今でも、バイアスがかかりそうだと感じたときには、この経験を思い出し、必ずデータに立ち返るようにしています。

分析のプロとして大切な「姿勢」

―― これまでの経験を通して、分析者として大切だと感じる姿勢はどのような点でしょうか。

Rejouiで多くのプロジェクトに携わって感じたのは、「自分の感覚が正しいことの方が少ない」ということです。特に経験が浅いうちは、自分が知らないドメイン・領域の案件を受ける機会のほうが多いのです。
はじめのうちは決めつけず、「まあ当たってたらいいだろう」くらいの気持ちで分析に臨むことが大切です。「仮説が外れた時はまた考え直せばいい」という柔軟性を持つことが、分析の質やスピード向上につながると思っています。

―― 変化の速い領域ですが、先進技術と基礎知識の関係性についてどうお考えですか?

先進技術の理解は「手札を増やす」という意味ではもちろん必要です。しかし何より、「まず課題は何なのか?」これが優先です。それを解くために必要なら先進技術を使えばいいですし、基礎集計で解決できるならそれで十分なのです。「最新の技術で高度なフローを作りました!」と押し付けても仕組みとして浸透していかないため、クライアントと伴走していかなければあまり意味がありません。使う人に最適な手法を見極められる力を養う姿勢が大切なのではないでしょうか。

Rejouiで得られた具体的な成長

―― 約2年という長期間の在籍でしたが、働いてみてどうでしたか?

複数の会社でインターンを経験しましたが、Rejouiのインターンの良さは、信頼したうえで、考えるプロセスごと仕事を任せてくれる点にあります。
もちろんインターン同士で分業することも多いですが、望めば1から自分で考え、アウトプットに対して具体的なフィードバックを受け、それを何度も繰り返しながら改善していくチャレンジができます。

また、社員も含めて仲の良さが印象的で、忖度なく意見を言える環境がすごくよかったと感じています。

―― インターンを通じてどんな成長を感じますか?

説明力の向上と、課題ベースで考える姿勢です。以前は1から10まで全て説明していたのが、「初めて聞く人に何を知ってほしいのか」を想定した上で話す意識が身についた実感があります 。また、技術の進歩はすさまじいですが、それらをしっかり追った上で必要なタイミングを見極め、選択できるようになりました。いずれもインターン期間中の進捗共有の経験や、分析レポートに対していただいたフィードバックが活きています。

技術とプロセスを学ぶことの価値

―― 最後に、データサイエンスを学ぶ方や、これから実務を経験する方へメッセージをお願いします。

データサイエンスの勉強や仕事をする上では、一度で完璧にやろうとしないことを大事にしています。分析は、何度も試して改善を重ねていくプロセスを避けられないので、いち早く手を動かしてみることが成長につながります。

Rejouiの教材は、技術だけでなく、データ活用に効果的な姿勢やプロセスを学べる点が実用的です 。企業がデータを扱う際には、技術だけでなくプロジェクトの進め方や関係者との調整も必要になるため、そうした要素をまとめて学べるのは大きな価値だと感じています。ハンズオンで実際にデータを触り、自分なりに解釈してみる経験も得られます。

データ分析は、自分の仮説が覆されることの連続です。最初から正解にたどり着くことはほとんどなく、仮説を立て・データを見て・また考え直す。そのプロセスを何度も経験できたことが、自分の力を大きく育ててくれたと感じています。
学ぶほどに面白さが増していく世界なので、ぜひ楽しみながら挑戦してほしいです。

おわりに(編集後記)

インターンとして多様な分析プロジェクトに関わり、教育現場での授業づくりにも挑戦した柳さん。インタビューから伝わってくるのは、どの経験にも一貫して流れる “仮説を立て、思い込みを捨てデータを見る” という姿勢です。
『迷ったときは一度立ち止まり、データに戻って考えてみる。外れてもまた考えればいい。』そんな柳さんの言葉は、データサイエンスに携わる人だけでなく、これから学びを深めたい方にもそっと寄り添うものだと感じます。
それぞれの立場で挑戦を続ける皆さんにとって、柳さんの経験が小さなヒントになれば嬉しく思います。

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