ICTの次は“活用力” DXハイスクールのはじめてガイド
先生も安心!ゼロからわかる、これからの高校教育の話
GIGAスクール構想で1人1台端末が整い、ICT環境はひとまず揃った。でも、「その次に何をすればいいの?」と感じている先生も多いのではないでしょうか。今回ご紹介する「DXハイスクール」は、デジタルなどの成⻑分野を⽀える⼈材育成を目的に、文部科学省が推進する取り組みです。高校教育における教育内容や学び方の改革を進めるため、カリキュラムの見直しや環境整備を支援しており、関心が高まっています。
とはいえ、多くの先生が「導入が難しそう」「実際のところ何をすればいいのかな」といった戸惑いを感じています。本記事では、「DXってなに?」「うちの学校にもできるの?」などの疑問を、はじめての先生にもわかりやすく整理して解説します。DXハイスクールの基本から、授業づくりのヒントや導入メリット、無理なく始めるためのサポートについて、ステップごとにご紹介します。
Step 1:DXってそもそも何?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、これまでのやり方や考え方を見直し、新しい価値を生み出していくことです。身近な場面で例えるとこのようなイメージです。
- 紙の連絡帳 → 学校アプリやオンラインで一斉配信
- 職員会議での口頭連絡 → 校内ポータルやチャットツールで共有
- 授業の出欠確認 → タブレットで自動集計 → 集計の時間を減らして、生徒との対話に時間を使えるように
- 紙で回収していたアンケート → オンライン集計 → データをその場でグラフ化して、生徒と一緒に読み解く
つまり、「デジタルで便利にする」だけでなく、今まで時間をかけていた作業を効率化し、捻出した時間で“新しい価値”を生み出せるのがDXのポイントです。
Step 2:じゃあ、DXハイスクールって何?
このDXの考え方を高校教育に取り入れたのが「高等学校DX加速化推進事業(通称:DXハイスクール)」です。文部科学省が2024年度から本格的に推進しています。
たとえば、地域の課題をテーマに、生徒たちが自らデータを集めて、分析し、解決策を考える。DXハイスクールでは、こうした探究学習をデジタルの力でより深めていく学びが想定されています。その実現に向けて、高スペックな端末やツールの導入、専門機関との連携、カリキュラムの見直しなど、もう一歩踏み込んだ環境整備や体制づくりが支援されます。
生徒が「自ら学び、考える力」を育み、社会で活躍するための土台を、高校段階から整えていこうというのがDXハイスクールのねらいです。
たとえばこんな授業
- 身近な課題(ごみ問題、防災、観光など)をテーマに、生徒が実際にアンケートやデータを集め、分析結果に基づく解決策の提案までを行う体験型授業
- AIやプログラミング、データサイエンスを具体的な事例を通じて学べる実践授業
- グループで協働しながら「正解のない問い」に挑む探究型の学び
Step 3:学校がDXハイスクールに取り組むメリットは?
導入が大変そう…と思われがちですが、得られるメリットも大きい取り組みです。
生徒にとってのメリット
- データリテラシーや課題解決力など、これからの社会で求められる力を養える
- 探究活動に手応えが生まれ、自発的な学びを促す
- 大学入試や進路活動でのアピールにも活かしやすい
学校・先生にとってのメリット
- ICTや探究の取り組みを体系的に整理・レベルアップできる
- 教科横断型の学習を構築できる
- 地域や企業との連携を通じて、学校の魅力強化・ブランド化につながる
- 外部支援の活用によって、先生一人に負担をかけすぎない運営も可能
Step 4:どの学校に向いてる?――3つの類型でわかりやすく
DXハイスクールは、学校の特色や方針に応じて、3つのタイプ(類型)から選べます。
重点類型名 | 特徴 | 向いている学校の例 |
---|---|---|
グローバル型 | 外国語授業や海外連携校への留学等 | 国際交流・語学教育に力を入れている学校 |
特色化・魅力化型 | 地域課題や独自テーマに取り組む | 地域連携や特色ある探究をしている学校 |
プロフェッショナル型 | AI・データサイエンス等の専門教育 | 商業・工業・情報科など専門学科がある学校 |
関連記事:3つの類型について詳しく解説!
Step 5:GIGAスクールやSSHと何が違うの?
似たような言葉が多く、混乱が生じることがあります。次のように整理すると相違が明らかになります。
取り組み名 | 主な目的・特徴 | 対象と具体的なイメージ |
---|---|---|
GIGAスクール構想 | 1人1台端末とネット環境を整備し、ICTを日常的に活用できる教育環境をつくる | 対象:すべての学校 イメージ:日常的にタブレットやPCで学習/オンライン授業やデジタル教材の活用 |
SSH(スーパーサイエンスハイスクール) | 目的:科学技術・理数教育の充実を図り、将来の科学技術人材を育成すること 特徴:大学・企業と連携した研究活動/科学的探究力の育成/課題研究や発表活動が中心 | 対象:主に理数系に強みのある全国の高等学校(文科省が指定) イメージ:生徒が研究テーマを設定し、実験や発表を行う/科学コンテストへの参加など |
DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業) | 目的:デジタルやAIを活用した探究的な学びを推進し、次世代の人材を育成すること 特徴:デジタル技術活用(AI・プログラミング等)/探究学習の重視/地域や大学・企業との連携 | 対象:文理問わず探究的な学びを進めたい全国の高等学校(文科省が公募・選定) イメージ:生徒が地域課題をAIで分析・提案/プログラミングを使って課題解決型の学習を展開 |
Step 6:何から始めればいい?迷ったら、外部支援も活用を
DXハイスクールに取り組む学校からは、こんな声をよく耳にします
何から始めていいのかわからない
先生たちのスキルに差がある、足並みを揃えられるか不安
教材や授業の具体像がつかめない
そんなときは、外部のパートナーと連携して進めていくことも一つの方法です。私たちは、学校の皆さんとともに、DX人材育成に向けた道すじ(ロードマップ)を整理し、それぞれの現場に合ったかたちで、着実に取り組みを進めていくお手伝いをしています。
たとえば――
- まずは授業の目的やテーマを一緒に考えるところから。生徒にどんな力を育てたいかを明確にします。
- 次に、その学びをどのように授業へ落とし込むか。今のカリキュラムと無理なくつなげる方法を設計します。
- そして必要に応じて、教材や進め方の工夫、教員向けの研修設計までご相談いただけます。
学校ごとに異なる課題や状況に応じて、どの段階からでも柔軟にご支援いたします。
Step 7:Rejouiの支援メニュー(DXハイスクール対応)
Rejouiでは、以下のような支援をご提供しています。
※教材のカスタマイズをご希望の場合は、追加費用にて対応可能です。
よくあるご質問
Q. 文系の学校でもできますか?
→ はい、文系でも全く問題ありません。論理的な思考力が求められる今こそ、探究的な学びを推進することが重要です。
Q. 教員に専門知識がなくても大丈夫?
→ はい、教材や研修講座でサポートします。お困りごとに合わせた教員向け研修や、オンラインで質疑応答が出来るメニューもご用意しています。
Q. 小さな学校でも取り組めますか?
→はい、問題ありません。少人数だからこそ実現できる、一人ひとりに寄り添った個別最適な探究や対話的な学びは、小規模校ならではの強みとして期待されています。
おわりに:変化を恐れず、未来の教育をRejouiと一緒に
DXハイスクールは、単なる「ICTの活用」ではなく、教育そのもののアップデートです。変化の時代に向き合う生徒たちが、自ら考え、行動し、未来を切り拓くことができる力を養成するチャンスです。
Rejouiは、先生方の新たな挑戦を、パートナーとして一貫して伴走支援します。どうぞお気軽にご相談ください。