つくり手の意図と、受け手の実感。データ分析実践研修が生んだ現場の変化

株式会社Rejouiは、さまざまな企業や教育機関と共に、デジタル人材の育成支援に取り組んでいます。
今回ご紹介するのは、鈴与システムテクノロジー株式会社(以下、SST)とともに設計・実施した約6ヶ月間の育成プログラムの事例です。本研修は、SSTが進めるデジタル人材育成戦略の一環として行われ、現場で活かせる分析思考と実践力を育てることを目的に構成されました。
知識を学ぶだけでなく、実務でどう使うかまで見据えた構成で、当社はその設計から講義・運営まで伴走支援を行いました。
本記事では、研修の企画者である小杉さんと、実際に受講した由水さんにご登場いただき、「仕掛ける側」と「受け取る側」それぞれの視点から、現場で感じた手応えや、DX化に対する想いを伺います。
研修概要
タイトル:データ分析実践ワークショップ
実施期間:2024年9月〜2025年2月(約6ヶ月)
概要:オリエンテーション+全6回のワークショップ+発表会で構成される、実務直結型の人材育成プログラム

鈴与システムテクノロジー株式会社 公式サイト
鈴与システムテクノロジー(SST)は、静岡県に本社を置くIT企業で、220年以上の歴史を持つ鈴与グループの情報事業を担っています。1990年の設立以来、物流・商流・食品・建設・航空など多様な分野で、システム開発やITインフラの構築・運用、DX推進を通じて事業活動を支え続けています。
近年はグループ外にも連携を広げ、静岡県内の中小企業や自治体とともに、地域の魅力や課題に向き合いながら、デジタル技術を活用したサービス支援や地域イベントへの協賛など、地域社会との接点を広げています。SSTは、デジタルの力で地域の可能性を引き出すパートナーとしての役割を目指しています。
株式会社Rejoui(リジョウイ)
AI・データサイエンスを軸に分析コンサルティング、システム開発、人材育成を展開する企業です。人や企業がデータを最大限に活用できるよう、多角的なアプローチで支援しています。組織にデータ活用の文化を根づかせ、事業の意思決定や日々の業務に変化を生み出すことで、お客様のビジネスの成長を力強く後押ししています。
鈴与システムテクノロジー株式会社 公式サイト
鈴与システムテクノロジー(SST)は、静岡県に本社を置くIT企業で、220年以上の歴史を持つ鈴与グループの情報事業を担っています。1990年の設立以来、物流・商流・食品・建設・航空など多様な分野で、システム開発やITインフラの構築・運用、DX推進を通じて事業活動を支え続けています。
近年はグループ外にも連携を広げ、静岡県内の中小企業や自治体とともに、地域の魅力や課題に向き合いながら、デジタル技術を活用したサービス支援や地域イベントへの協賛など、地域社会との接点を広げています。SSTは、デジタルの力で地域の可能性を引き出すパートナーとしての役割を目指しています。
株式会社Rejoui(リジョウイ)
AI・データサイエンスを軸に分析コンサルティング、システム開発、人材育成を展開する企業です。人や企業がデータを最大限に活用できるよう、多角的なアプローチで支援しています。組織にデータ活用の文化を根づかせ、事業の意思決定や日々の業務に変化を生み出すことで、お客様のビジネスの成長を力強く後押ししています。
研修との関わり

── まずは簡単に自己紹介をお願いします。今回の研修には、どのような立場で関わられましたか?
小杉
新卒入社以来、長年にわたり鈴与グループのITシステムの構築・導入や運用保守に携わってきました。8年ほど前にソニーのAutoMLツールを使ったAIの予測分析を行う機会があり、そこからデータ分析全般や統計学の世界にのめり込んでいきました。
その過程で、gacooが提供する「社会人のためのデータサイエンス演習」を受講し、講師を務めていた菅さん(Rejoui 代表取締役)の存在を知りました。講座を通じて考え方やアプローチに共感し、私のほうから直接Rejouiさんへ連絡を取ったことが、関わりの始まりです。
それ以降、ここ3年ほどはデータ分析人材の育成やデータ活用の推進に携わっています。今回のデータ分析ワークショップでは、企画責任者として全体設計と運営に関わりました。
由水
入社3年目で、現在はグループ各社の社内システム、Microsoft 365の運用に携わっています。新入社員のアカウント発行や、社員の方々からの問い合わせに対するサポートが主な業務です。
今回の研修には受講者として参加しました。もともとデータ分析に関する知識はまったくなく、日々の業務の中でもエラー発生時にメールのログ情報を読み解く程度で、正直「分析」と聞いてもピンとこない状態からのスタートでした。
見並
私は、企業がデータドリブンにビジネスを進めていけるよう、人材育成計画の立案や研修プログラムの設計・実施など、実務に根ざしたコンサルティングに取り組んでいます。今回は伴走支援という形で、SSTさんと一緒にプログラムを作り上げていきました。
なぜこの研修を始めたのか?
SSTでは、経営計画に「データドリブンによる全員経営」が重点項目として盛り込まれ、グループ全体でDXやデータ活用の重要性が高まっていました。小杉さんは、そうした中で課題認識を持たれ、データ分析人材の育成に取り組まれてきました。
特に課題を感じられていたのは、意思決定の場面です。キーマンやステークホルダーの感覚に頼るケースが多く、データに基づく客観的な分析が十分でないと感じる場面が少なくなかったそうです。また、「データ分析は一部の専門職だけのもの」という空気や、社内全般的なデータ利活用における共通言語の不足にも課題を感じられていたそうです。
育成計画の全体像や設計意図についての詳細は別記事(▶︎ データで考える文化を根づかせる──続く人材育成の仕組みとは )で紹介しています。本記事ではデータ分析実践ワークショップに焦点を当ててお届けします。
見並
課題認識を持たれてから、実際に研修を事業化していくまでには、上層部の理解や社内調整が必要だったのではないですか?
小杉
そうですね。ただ、当社は比較的風通しがよく、新しく何か始めることに対してあまり止められることはない環境です。必要な理由の筋が通っていれば、会社もそれを受け入れて推進することができるんです。
会社として「データドリブン経営」という方針はすでにありましたので、デジタル化やデータ活用といった面では先行して取り組んでいました。ただ、現場の社員一人ひとりが「データに基づいて考える」ところまでは、まだ浸透していませんでした。方針として掲げることと、それを実際に現場で実践することの間には、一種の壁がありました。
見並
その壁を突破できたのは、小杉さんご自身がすでにAI予測分析を学ばれていて、実践されていたことが大きかったんでしょうね。当時の上司の方の理解もあったと伺いました。
小杉
はい。 当時は営業推進部にいたのですが、事業部長から「こういうツールを使ってやってみないか」と声をかけられたのがきっかけでした。課題解決の一つの手段として、そういったツールも使って今後やってみるといいんじゃないかと。
そこから、データ分析全般の人材育成へと活動を広げていきました。まずは、どういう知識がないとデータ分析ができないかという知識要素を捉えることから始めました。データサイエンティスト協会 のスキルチェックリストなどを参考にしながら、必要な知識をまず身につけたいと考えました。
ただ、知識だけでは実践力につながらないので、そこも合わせてやっていかないと活用できないよね、ということで。知識と実践力の両面でレベルを上げていく設計にしました。実践力を上げるためには、やはり知識の引き出しを増やすことが重要です。
モチベーションの維持だけでなく、知識を習得するプロセスをしっかり踏むことが、長期的な人材育成には欠かせないポイントだと感じています。
15名の受講者、選抜の基準は?
── 今回のワークショップには15名の方が参加されましたが、メンバーはどのような基準で選ばれたのでしょうか。
小杉
過去に実施したデータサイエンティスト育成研修プログラムの参加率やアンケート結果、それから私が企画した分析トピックの紹介イベントなどの参加状況から、モチベーションが高い社員の意志を第一に尊重し、立候補あるいは部門推薦で15名を選抜した結果、システム開発、インフラ、カスタマーサポート、営業など、多様な部署からメンバーが集まりました。
── 由水さんは、その選抜プロセスを経て参加されたわけですね。研修に参加することになった時の心境はいかがでしたか?
由水
このワークショップの前に基礎的な研修を受けていて、そこで「学んだぞ」という気持ちになってたので、「前の研修の上級者版!実践でできるんだ!」とポジティブに捉えていました。実際に始まったら「無理かも」と思う場面もありましたけど(笑)。今振り返ると挑戦して良かったです。
研修設計の工夫──「言葉」へのこだわり
── 小杉さん、研修を設計するうえで特に工夫された点を教えてください。
小杉
「問題」と「課題」の違いを共通言語として浸透させることを重視しました。現場では「困っていること=課題」と捉えがちですが、データ分析の視点では、“問題”を定量的に捉え、そこから“課題”を構造的に整理する力が求められます。
このギャップを埋めるため、PPDACフレームワークや統計的思考を軸に、職種を問わず“考え方”を根づかせる設計にしました。言葉の表現には特にこだわりましたね。
見並
その象徴的なツールが、小杉さんが作られたオリジナルのワークシートですよね。
小杉
そうです。問題点を細分化して、背景を整理して、課題として言語化していく。そのプロセスをステップごとに埋めていくワークシートを作りました。
最初に練習用のテーマで試してもらったんです。例えば「離職防止」というテーマがあって、その中に問題点や背景が文章で書いてあるんですが、「どこが問題点で、どこが背景か」を切り取って分類していく形です。
見並
国語のテストみたいですね。
小杉
そうですね。いざ実際に自分のテーマでやってみると、これが難しいんですよ。最初は全部が「課題」になっちゃう。そこから何度も見直して、「これは問題点だよね」「これは課題じゃないよね」と整理していく工程が必要でした。

── 由水さん、このワークシートを使ってみていかがでしたか?
由水
最初は「問題点ってなんだろう?」と戸惑いました。自分のテーマに沿って考えると、全部課題になってしまって。グループで話し合いながら、「それってどういう意味?」「それは問題じゃなくて課題じゃない?」とやり取りを重ねることで、少しずつ理解が深まっていきました。
見並
このワークシートの良さは、最後に着地が変わってしまった時に、見直すとそのズレがよく見えることなんですよね。最初にやりたかったことと、実際に分析していることが違う、というケースは実際のプロジェクトでも起こり得るのですが、こういったシートがあると気づきやすくなります。
実践ワークショップの進め方
── 研修の具体的な進め方について教えてください。
小杉
研修は、事前研修(PPDACや統計の基礎、Excel分析)→ビジネス着想研修→オリエンテーション→6回のPBLセッション→発表会という流れで、段階的に思考と実践を深める構成にしました。
受講者15名を3名ずつ5グループに分けて、対話重視のワークショップ形式で進めました。グループ分けにもこだわりがあって、積極的な人同士をあえて一緒にしたり、 逆に似たタイプの人を固めたりと、いろいろ意図を入れました。
見並
チーム編成にそのような戦略があったんですね!
小杉
チームの中で誰かリーダー的になる人がいた方がうまく進むんですが、みんながその人に引っ張られてしまうこともあります。なので、積極的な人をあえて1チームに集めてしまうとか、違う部門の人を組み合わせるなど工夫しました。由水さんのグループは、年齢や部門のバランスを考えて組みました。
由水
私のグループは、入社時研修の講師だった先輩と、別部門のベテランの方との3人でした。部門が全く違うので、お互いの業務を理解するところから始まりましたね。
テーマ選びとデータの壁
── 由水さんのグループでは、どのようなテーマに取り組まれたのですか?
由水
「PCの使用状況とバッテリー不良の関係性分析」というテーマに取り組みました。最初は複数の候補があったんですが、まずデータを持ってこられるか、使えるのかを確認して、次に仮説を立て、「これって分析できそうかな、どうやってやるのかな」と手法を考えながら絞り込んでいきました。
見並
実行可能性から課題選定をされたんですね。
由水
はい。実践研修だからこそ、データの取得可能性は重要でした。特に外部データはハードルが高くて、結局やめてしまったものもありました。
── 実際に進めてみて、データは十分に取れましたか?
由水
取得はできたのですが、途中で「この分析をしたい」と思った時に、必要なデータが足りないことがわかって。それで分析手法を見直すことになりました。
見並
手戻りがあったんですね。これは実際のプロジェクトでもよくあることです。
由水
はい。でも、その時に小杉さんにSVM(サポートベクターマシン)という機械学習の手法を教えていただいて、それを使ったら見えてきたものがありました。Excelでの分析だけでは見えなかったデータの特徴を発見できたことが、すごく印象に残っています。
小杉
グループ内でそれぞれの考え方や見方を合わせてステップを進めていくコミュニケーションも、データ分析チームとして重要な要素なんです。3人1組のグループワークを通じて、そういったところも学んでほしいと思っていました。
見並
チームでの分析は、実際のプロジェクトでもよくある形ですよね。大変だったと思いますが、少しずつ結果が見えてくると、メンバーの姿勢も変わってきたのではないですか?
由水
そうですね。「なんか見えてきそうじゃない?」「まとめられそうだね」という雰囲気になってからは、スケジュールを立てて、「来週までにこれをやろう」とエンジンがかかった感じがありました。
小杉
うちの会社の社員は、なんとか成果を上げて完遂させないと、という意識が高いんです。開発部門のメンバーもいれば、由水さんのようにカスタマーサポートの部門もいて、それぞれが普段から工程を踏んで成果物を上げる経験をしているからだと思います。
満足ではないところはありながらも、なんとか成果を追って完遂させる。そのスキルの高さは、今回の研修を通じてあらためて感じた自社の長所でしたね。
研修後の変化──「データで考える」が習慣になる

── 由水さん、研修を終えて、日々の業務で何か変化を感じることはありますか?
由水
ちょうど研修終了直後に、一年間の目標を振り返る機会があって、そこで自分が溜めていた一年間の案件データを分析してみたんです。
小杉
データに基づく自己分析ですね!
由水
はい。Excelのデータ分析ツールを使って、「この月は忙しかったな」とか「この部署からよく依頼をもらっているな」という傾向を確認しました。今までグラフを自分で作っていたのが、もっと簡単にできることがわかって。
年間でどのくらいの件数をこなしているかを見てみたら、やっぱり3月、4月と9月、10月が忙しいんです。それが数字で示されて、「あ、やっぱり疲労していたんだ」と納得できました。11月が一番少ないこともわかったので、「休みを取りやすいタイミングはここだな」とか(笑)。
見並
素晴らしいですね!その先はどうですか?例えば、課題と対策に繋げていることなどありますか?
由水
この種類の依頼が多いから、この業務を改善しようと考えるようになりました。私は普段Excelのマクロで業務を自動化しているんですが、「どれを自動化したら効率的か」を判断する目安にもなりました。
見並
見事に実践されているんですね。分析して傾向を掴むだけでなく、業務改善のアクションまで繋げている。理想的な活用です。
小杉
関連性をもっと深掘りしていけると、より一層面白くなりそうですね。例えば、ある事象が起こる前に関連する、別の事象があるかもしれない。そこも対処すれば、結果的に全体が減るとか。
由水
そうですね。今はまだそこまでは出来ていませんが、今後挑戦してみたいです。
見並
データで示すと、例えば「人手が足りない」と主張する時にも、具体的にデータを示して「どのくらい足りないのか」が論理的に説明できますよね。
由水
はい。提案などをする際に、根拠を持って話せるようになったのは大きな変化だと思います。
経営層が見た研修の成果
── 最終発表会では、経営層の方々も参加されたと伺いました。どのような評価をいただいたのでしょうか?
小杉
発表会では役員や幹部の方々を招いて、各グループがプロジェクトの成果をプレゼンテーションしました。経営層からは、次のような評価を受けました。
まず、「現場の疑問や実感に根ざした課題設定ができている」という点です。机上の空論ではなく、実際の業務で感じている課題をテーマにしたことが評価されました。
次に、「実感や現場感覚をデータで裏付けた」点です。今まで「なんとなくそう思う」で終わっていたことを、データで検証しようとした姿勢が良かったと。
また、「新しい分析手法へのチャレンジ精神」も評価されました。由水さんのグループのように、Excelでの分析で行き詰まった時に機械学習という新しい手法に挑戦したことなどが挙げられました。
そして、「ネクストアクションの立案までつなげた点」と「分析レポートとプレゼンまでゴールした点」。単なる分析で終わらず、今後どうするかまで提案できたことが評価されました。
見並
経営層の方々は、どのような点に期待を示されていましたか?
小杉
「今後は、仮説の精度やデータ分析の深さをさらに磨きながら、より幅広い視点で多角的な分析にチャレンジしていきましょう」といった期待のコメントをいただきました。
この研修が一回限りではなく、継続的な取り組みとして組織に根づいていくことを期待されているんだと感じましたね。
見並
経営層からの評価は、受講者の皆さんにとっても大きな励みになったのではないでしょうか。
由水
はい。自分たちの取り組みを経営層の方々に直接見ていただけたことは、とても貴重な経験でした。コメントをいただいたことで、「データで考える」ことの重要性をあらためて実感しました。
投資対効果──組織全体への波及

── 小杉さん、経営的な視点から見て、この研修への投資はどのような形で組織に還元されていると感じていますか?
小杉
直接的な効果としては、受講者が実際に業務改善に取り組み始めたことが挙げられます。由水さんのように、日常業務でデータを見る習慣がついたことで、業務の効率化や優先順位付けが的確になっている。
さらに重要なのは、波及効果です。受講者の中から賛同者が生まれ、部門を超えてデータを共有する取り組みや、身近な業務を題材にした小規模勉強会が自発的に立ち上がるなど、変化が少しずつ社内に広がっています。
実際に、研修をきっかけにキャリアを転換した社員も生まれました。データ活用全般を担当する部署に異動したんです。いきなりデータサイエンスの専門家になったわけではありませんが、データ活用の視点を持って業務に取り組める人材が育ったことは、組織にとって大きな資産です。
見並
研修中も、皆さんが「自分の仕事をどう良くできるか」を前向きに考えている姿が印象的でした。研修をきっかけにキャリアチェンジを実現させるのは簡単なことではありませんので、大変珍しいケースですね。
小杉
社内研修で機会を作り、それをきっかけにキャリアの道筋を辿っている人がいる。いずれはそのメンバーがロールモデルになる可能性も大いにあります。「あの人も研修から始めたんだ」と、後に続く人が出てくることを期待しています。
── 経営層は、この取り組みをどのように見ているのでしょうか?
小杉
会社として「データドリブンによる全員経営」を掲げている以上、人材育成は避けて通れない投資です。今回の研修を通じて、経営層も「現場から変化が生まれている」と実感してくれたと思います。
発表会で各グループの成果を見て、「データを使った意思決定が、現場レベルでも可能になってきている」と感じてもらえたのではないかと。その意味で、研修は単なるスキル習得の場ではなく、組織文化を変える投資だったと言えます。
見並
投資対効果を考える上で、文化の醸成というのは測りにくい部分ではありますが、確実に組織の基礎体力を上げていきますね。
小杉
そうですね。現在は社内で統計基礎スキルなどの評価指標を設け、全体的なスキル向上を数値で確認できるようにしています。定量的な効果測定も行いながら、着実に前に進んでいる実感があります。
「データで考える」文化を組織に根づかせるために
── 小杉さん、今後、この取り組みをどのように広げていきたいとお考えですか?
小杉
今回のような実践の場を繰り返し提供していきたいと思っています。2回、3回と続けるうちに、自分の身近なところでも、今まで持っていた感覚や肌感が確かなのかをデータで数値化して検証する癖がつくといいなと。
それぞれの部門に、今回の受講者のような人が増えていけば、だんだんとデータで考える風潮が広まってくると期待しています。
── グループ会社への展開も視野に入れていらっしゃるとか。
小杉
はい。最終的な目標は、鈴与グループ約140社に対して徐々にこの文化を展開していくことです。グループは物流、建設、食品、航空など多様な事業を展開していますが、どの事業でもデータに基づく意思決定の重要性は変わりません。
ただ、そのためにはまず自社がIT企業として範を示さないといけません。グループに展開する前に、まずSSTの中でしっかりと文化を根づかせることが重要だと考えています。
見並
自社での成功事例を作ってから、グループ展開という戦略は理にかなっていますね。
今後もしも、由水さんが新人教育をする立場になった時に、「データはどうなっているの?」「その問題点を課題化してきて」と自然に言えるようになったら、本当に “文化として定着した” ということになりますね。
小杉
はい、楽しみです。「一緒にどんなデータがあるか見てみようか」と一緒に考えられる人が各部門に増えていけば、組織全体が変わっていくと信じています。
お二人にとって「データで考える」とは?
── 最後に、お二人にとって「データで考える」とは何でしょうか?
小杉
「データで考える」とは、単に数字や分析結果を使うことではなく、日々の業務や意思決定に客観的な視点を根づかせることだと感じています。
私がデータ人材の育成に力を入れる理由は、単にスキルを持った人を増やすことではなく、「データで考えることが当たり前になる組織文化」をつくるためです。私自身、現場での経験から ”属人的な判断” や “勘” に頼る意思決定の限界を感じてきました。
データ活用を組織に浸透させるには、特定の部署や役職だけでなく、全社的な取り組みが不可欠です。そして、それは経営層の理解と継続的な支援があってこそ実現できるものだと思います。
当社もまだ道半ばですが、着実な一歩が必ず組織を変えていくと信じています。
由水
「データで考える」とは、単に数字を見ることではなく、「相手に伝わる形で整理する力」だと感じています。
これまでの業務では個人の「経験や感覚」で判断していたことが多かったのですが、研修を通して「なぜそう思うのか」「それを裏付けるデータはあるか」と一歩立ち止まって考えるようになりました。
私と同じように「分析は難しそう」と不安に感じている方にも、まずは身近な業務から一度やってみることをおすすめしたいです。
見並
お二人のお話を伺って、研修が単なるスキル習得の場ではなく、組織文化を変えていく起点になったことを強く感じました。
特に印象的だったのは、発表会で経営層が受講者の成果を直接評価し、今後への期待を示されたことです。トップダウンで方針を示すだけでなく、現場の取り組みを可視化し、評価する場を設けることで、組織全体のモチベーションが高まる。そうした好循環が生まれている様子を見せていただきました。
データで考えることが特別なことではなく、日常の習慣になっていく。その瞬間に立ち会えたことを、私たちもとても嬉しく思います。
Rejouiは、貴社の事業特性や組織文化に合わせた人材育成プログラムの設計から実施まで、伴走支援いたします。お気軽にご相談ください。





