近年、あらゆる業界でデータサイエンスやAIといったデジタル技術が活用され、ビジネスモデルに大きな変化が起きています。それらは単なる既存業務の自動化に止まらず、今まで放置されていた課題を解決可能にしたり、新たな価値を生み出したりと大きな力を発揮しています。今回は、労働力不足や高齢化が叫ばれている農業分野におけるデジタル技術の活用例を2つご紹介します。
農作業を記録データに変換「アグリノート」
ウォーターセル株式会社では、日々の農作業を記録し、進捗やコストを管理する「アグリノート」を提供しています。
アグリノートでは、航空写真をもとに圃場(ほじょう)マップを作成し、利用者はマップ上の圃場をクリックして毎日の農作業の記録を入力します。これにより、各圃場の作業進捗の可視化ができ、作業工程の見直しやスタッフ間の情報共有をスムーズに行うことが可能です。また、各圃場ごとの製品ロス率を算出したりと、蓄積されたデータを用いた分析も行うことができ、利用者の意思決定をサポートしています。
*圃場(ほじょう)とは、農作物を栽培するための場所のこと。 水田や畑(普通畑・樹園地・牧草地)などを包括する言葉。
参考:
アグリノートホームページ:https://www.agri-note.jp/
ドローンによる野生鳥獣生息域調査
株式会社スカイシーカーでは、ドローンを活用した農地環境調査サービスを提供しています。
農業では、野生動物の侵入による農作物の被害が大きな問題となっています。被害を防ぐため、従来では足跡などの生活痕跡を利用したり、捕獲と放逐を繰り返したりする調査を行っていますが、多くの人的リソースが必要となり実施することが困難です。そこで、株式会社スカイシーカーでは省力化のためにドローンを使用した調査を行っています。赤外線カメラを用いることで、従来では非常に危険とされていた夜間の調査を安全に行うことができ、シカやイノシシなど夜間に活動する動物の個体数を正確に把握することが可能です。さらに、研究機関や専門家が取得データを分析し、被害防止計画の立案などを提供することで、実際の施策決定までをサポートします。
参考:
サービス紹介ページ:https://skyseeker.jp/investigation/habitat-survey/
生息域調査サービス紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=qPE35OWRZBQ&t=5s
おわりに
このほかにも、農業では自動操縦や水管理システムなど、さまざまなデジタル活用が進められています。農林水産省と農研機構が共同で実施している「スマート農業推進フォーラム2020」のホームページには、実証実験の結果や最新の研究成果がまとめて掲載されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
スマート農業推進フォーラム2020ホームページ:https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/forum/R2smaforum/index.html
この記事を書いた人
名前:柳智也(ヤナギトモヤ)
所属:筑波大学理工学群社会工学類学部3年生(2021年4月)
大学では経営工学を専攻。データを用いて新型コロナウイルスの感染状況を理解する取り組みを見てデータ分析に興味を持ち、2021年4月よりデータ分析企業でのインターンシップを開始。趣味はhiphopを聴くこと。