[DX事例3選]海外事例に学ぶDX推進

[DX事例3選]海外事例に学ぶDX推進

常に新しいテクノロジーが生まれ、進化が激しいビジネスにおいて、競争から取り残さないために、IT技術やデータの有効利用がもたらすビジネス革新のDX(デジタル・トランスフォーメーション)はニーズが急激に高まっている。DXとは何か。なぜDX推進が世界中で注目されているのか。

本記事では、日本国内や海外におけるDXの実践事例をいくつか紹介し、そのポイントについて解説する。

DXとは?

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称である。2018年に経済産業省によって発表された『DX推進ガイドライン』によると、以下のように定義されている。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

簡単にいうと、DXとはデジタル技術やデータの利活用に組織活動を合理化し、既存のシステンスや価値観を徹底的に覆し、新たな事業創出や効率化につなげる取り組みのことである。

国内のDX事例

資生堂(Optuneの開発)

資生堂が行ったDXの取り組みの一つ、一人ひとりの肌に合わせたスキンケアを提案するIoTスキンケアシステム「Optune」(オプチューン)について紹介する。

ユーザーがアプリで自分の肌の写真を撮影すると、肌状態(水分・皮脂・毛穴・キメ)を測定することができる。さらに、測定したデータをもとに、肌を影響する外界のデータ(気温や紫外線や湿度など)や体調状態についてのデータ(食生活やストレス状態、生理周期など)とクラウドで組み合わせ分析し、どのようなケアが必要かを判定します。この分析結果を専用のシステムに連携し、ユーザー一人ひとりの肌状態にあった美容液を自動的に推薦する。

スキンケアのプロフェッショナルである資生堂が長年に蓄積したデータとデジタル技術を融合させ、ユーザー一人ひとりの肌トラブル早期に見抜き、その人にとって最適な改善策や予防策を行うことを可能とした。

資生堂が行ったDX推進のポイント:
1. IoTスキンケアシステムによって顧客の状態を精緻に分析し、スキンケアのパーソナライゼーションを実現した。
2. ユーザーのデータを直接収集できる状態をつくり、常にユーザーニーズを把握することができる状態にした。

参考記事:
https://manamina.valuesccg.com/articles/762
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1093708.html

海外のDX事例

IKEA(IKEA Placeの開発)

IKEA(イケア)はスウェーデン発祥で北欧風の家具や生活雑貨を販売する世界最大の家具メーカーである。家具のデザインや製造において、テクノロジーを積極に取り入れる企業としても話題だ。

IKEAでは、顧客体験を向上させるためにAR技術を導入し、「IKEA Place」という仮想空間上の自宅の部屋でIKEA家具を配置して試すことができるアプリを開発した。アプリ上では、ユーザーが気に入った家具を実寸サイズで配置したい場所に表示されるため、、家具を実際に家に置いたときの様子がより把握しやすくなる。購入したい場合は、アプリ上からIKEAのオンラインサイトにリンクして直接購入することもできる。

IKEA Placeの導入によって、消費者は家具を購入する前の悩みであるスペースの測定や部屋の雰囲気とのマッチングなどを解消することとなった。

DX推進ポイント:
これまでにない家具の購入体験を提供し、さらに消費者の悩みの減少にも貢献。

参考記事:
https://wired.jp/2017/10/06/ikea-place-augmented-reality/
https://iphone-mania.jp/news-189290/

アリババ (アリペイの進化)

オンライン・マーケットで会員数5300万人を抱える中国の大手企業「アリババ」は、自社開発による「アリペイ」によってキャッシュレス決済を促す金融サービスプラットフォームとして、アジアで有名である。

2020年にアリババはアリペイをワンストップのデジタル・ライフスタイルサービス・プラットフォームに進化をした。コロナ感染拡大の防止あってのライフスタイルの変容に応じ、アリババは181種類の「非接触型」サービスのミニアプリをアリペイ内に開発。ユーザーがミニアプリを使い、食料品の配達や医療相談などの生活全般のあらゆるサービスを楽しみながら、他者との接触を最低限度に抑えることを可能とした。また、物流や医療などの複数のサービス業と連携し、デジタル技術が商店や企業に導入されたことで、サービス業界全体のDX推進をスピードアップさせた。

DX推進ポイント:
デジタルライフスタイルサービスを創造し、ユーザーに大きい価値を与えつつ、サービス業界のDX推進を加速

参考記事:https://jp.alibabanews.com/alipay_lifeservice_digitalization/

まとめ

DXの推進により、各企業のビジネスモデルや提供価値は大きく変化し、今までにはない革新的なサービスが多く生まれている。一方で、DXの推進は簡単ではなく、企業ごとに取り組みの成功度合いは大きく異なる。自社が関わる業界でどのようにDXが実践されているのかを調べてみることで、変化に適応し、競争で生き残るためのヒントが得られるかもしれない。

この記事を書いた人

Jennifer 22歳

某大学の日本語学科に在籍中。留学をきっかけにRejouiでのインターンシップを始めた。
趣味は日本のドラマを見ること。

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