DXという言葉について、新聞などで取り上げられることも増え、見慣れてきた方も多いのではないでしょうか。DXとはデジタル・トランスフォーメーションの略称で、デジタル技術の浸透と活用により、人々の生活をより良く変化させるための概念を指します。
たとえば、現場の経験と勘に頼っていた商品仕入れをAIに置き換えたことで人材不足が解消されたり、人が24時間体制で管理していた野菜の生育環境をシステム管理にしたことで品質担保が容易となり品質が向上、置き換えた時間で商品開発が行えるようになった、などはDXの恩恵といえます。
本記事では、DXについて特にビジネスの領域でどのような可能性が見込まれるかについて解説します。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは
ビジネス領域におけるDXというと、「デジタルの利活用によって現在の業務を効率化すること」を想起する方もいるのではないでしょうか。しかしこの「業務改善・生産性向上のためのDX」のほかに、新たなる価値を創造する「イノベーションのためのDX」があり、DXは2つの意味合いを持っています。
デジタル化の推進や、AIや機械に通常の業務を任せることにより業務生産性を向上させ、人間は人間にしかできない「思考する」という仕事に集中することで、新たなる価値の創造や課題解決を促すことができます。このような状況を作り出し、現在の環境に変革をもたらすところまでを含め、真のDXといえるのです。
データを扱う仕事じゃないから関係ない?!
「データなんて難しいことはわからない。データサイエンティストの仕事でしょ?」
いいえ、DXはどんな職種の人でも取り組めます。誰もが無関係とはいえません。なぜなら、データとは情報のことであり、私たちビジネスパーソンはどのような職種であっても、無意識のうちに情報やデータを取り扱っているからです。
経済産業省が『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~ 』(*1) を発表して以来、メディアや新聞でDXという言葉を頻繁に目にするようになりました。
このレポートでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの重要性に言及し、もしDXが進まなかった場合、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると警告しています。これほどの大きな損失は、職種に関わらず働くすべての人々が全員で取り組まなければカバーしきれないのです。
*1 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
自分でできるDX
まずは手元にどのような情報があるのか整理する、データの棚卸しから始めましょう。これまで手掛けてきた仕事に関するデータ、一体どこに何があるのか、あなただけでなく周囲の人もきちんと把握できていますか?毎日使うエクセルを個人のデスクトップ上に置いていませんか?
データは、意思決定系統が明確な一か所にまとめて管理する「一元管理」で活用しやすくなり、業務の効率化を図ることが出来ます。もしまだあなたの会社で一元管理が整っていない場合は、棚卸しの過程で管理方法についても一緒に見直すことをおすすめします。
そしてもう一つ大切なことはデータの「突合性」です。
いざ、分析が必要になったときに「データを参照できるシステムを使える人が急に退職してしまい、誰もわからない!」「ある部署ではExcel管理だけど、隣の部署では手書きメモで管理している!」といった悲劇が生まれないようにしておきたいですよね。
異なる業務システムから得られた複数のデータも、他部署が管理しているデータも、どんなデータも組み合わせて活用できるデータを作っておきましょう。横断的に分析を実行できるよう普段からデータを統合管理しておくことは、DX時代の必須要件です。
活用できるデータとは
では、どんな状態にデータを棚卸しすればよいのか?
データとは情報のことを指すと述べましたが、AI活用時にとりわけ役立つデータの形があります。機械判読(マシンリーダブル)が可能で、なおかつコンピュータに投入して処理することができるデータのことを「構造化データ」と呼びますが、これらはDXにおいて有効活用しやすいデータと言えます。
構造化データのつくり方については、総務省から公開されている機械判読のためのExcel入力規則 (*2) などが参考になります。自社データの入力規則にこちらを徹底しておけばまず大きな問題はありません。
企業にとっての資産となるデータは、可能な限り構造化データに変換して一元管理しておくことで、実際にAI活用をはじめる際に時間とコストの短縮につながります。
業種や規模に関わらず、企業はAIを活用する時代にすでに突入しています。必要なデータを見極め、活用できる状態にすることは、会社のインフラを構築することとほぼ同義と言えるでしょう。
*2 https://www.soumu.go.jp/main_content/000723626.pdf
DXのはじめかた
データの処理量にもよりますが、はじめの一歩である棚卸しまでであればデータサイエンティストの力を借りなくても自社で実現できるケースはあります。せっかくデータを整理したので活用したい!と思い、さらにその先にDXを進めていけるかもしれません。
どのようにDXを実現していくのかについては、自社のみで完結するのが難しいという企業様もいらっしゃると思います。分析したいものが明確な場合もあれば、自分たちで集めたデータがどのようなことに活用できるのか見当もつかないという方もいらっしゃいます。そんな時は、やはりデータ分析のプロフェッショナルであるデータサイエンティストに依頼するのがおすすめですが、その際 “ 活用できるデータ ” が揃っていればきっとスムーズに進めていけるでしょう。
身の回りのデータをマシンリーダブルなものに変換し、全社でデータの一元管理を目指して棚卸しする。まずはそこからDXを始めてみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
Erina
株式会社Rejoui 広報
データ分析企業Rejouiで広報デザイナーとして活躍。R²のサイトデザインを担当。これまではHR領域の営業担当として企業の採用、人材管理業務に従事。2015年よりAI・データサイエンス関連企業にて営業支援・BtoBマーケティングを経験。